積極的行動支援(PBS)とは

By Aidan T.
By Aidan T.

 

  積極的行動支援(PBS)は、新しいスキルを教え、人の環境に変更を加えることで、生活の質を高め問題行動を減らすために用いられる、研究に基づいたストラテジーがセットになったものです。積極的行動支援は、生活の質を向上させ問題行動を減らすために、大切な実証証拠、行動および生物医学科学、検証された手順とシステムチェンジを組み合わせたものです。


      (Association for Positive Behavior Support 積極的行動支援学会HPより)

PBS with Familes (1996).pdf
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自閉症スペクトラム障害に関するPBSの簡単な紹介

積極的行動支援学会(APBS)のHPには、自閉症を持つ子供や成人への積極的行動支援について、次のように述べられています。

 

米国自閉症協会は以下のように報告しています:

 

自閉症は、通常、生まれてから最初の3年間の間に明らかと成る、社会的交流とコミュニケーションスキルの分野で発達に影響を及ぼす、脳の正常機能に影響を与える神経疾患の結果である複雑な発達障害です。自閉症の子供と大人は、通常、言語および非言語コミュニケーション、社会的交流、そしてレジャーや遊びの活動の難しさを症状の特徴としています。しかし、心にとどめておくべきことは、自閉症はスペクトラム障害であり、それぞれ個々に異なった影響を及ぼし様々な程度差があるため、早期診断がとても重要であることです。兆候を理解することで、子どもは多くの専門介入プログラムのいずれかから恩恵を受け始めることができます。」

http://www.autism-society.org/about-autism/   

  

積極的行動支援(PBS)は、行動の障害を伴う自閉症を持つ子どもと大人のサポートをするために使用できる一連のプロセスです。「問題行動」は、しばしば子どもや大人の「目的」を果たしています。多くの場合、自閉症を持つ子どもや大人は、要望やニーズを伝えることが困難です。問題行動は、彼らが家族や他の人に、何か重要なことを伝えようとしている「信号」と考えられます。例えば、子どもは騒々しい、または不愉快な場面から逃れるために問題行動を起こすかもしれません。例えばその子は、教室からの移動の際、慌しい学校の廊下に出るたびに、近くのロッカーに頭を叩きつけるといった、自傷行為を起こすかもしれません。この状況が起こったなら速やかに、子どもの教師や助手は自傷行為を阻止するために、廊下の移動帰還が終わるまで、静かな教室に子どもを引き込むとします。時間が経つにつれて、この子は自傷行為を起こすことは、騒がしい廊下への移動から逃れるために効果的な方法であることを学ぶでしょう。将来、その子は不愉快な状況から逃れるために再び自傷行為を起こす可能性が高くなります。さらに時間が経過するとまた、他の多くの場合においても、自傷行為を行うことによって不愉快な環境から逃れられることを学ぶかもしれません。コミュニケーションが困難な子どもや大人からは、トモダチや大人の注目をひくため、好きな物やアクティビティを得るため、または人々、場所や状況から逃れるまたはそれらを回避するために問題行動を取る傾向があります。場合によっては、内部の生理的な現象を得るか、またはそれを逃れるために問題行動が維持されていたりします。

 

効果的なPBSの計画の鍵は、問題行動の機能を識別することと、社会的に適切な​​コミュニケーションや社会的スキルに問題行動を置き換えるために役立つ新しいスキルを教えることです。さらにPBSの計画には、問題行動を触発するような出来事が削除されるように、作業や日課、状況及び環境を変える操作が組み込まれます

 

機能的行動アセスメント(FBA
PBSのプロセスの重要な部分は、問題行動が子供または大人のために提供する機能について詳細を学ぶことです。 FBAプロセスにおいては、お子様や大人の問題行動が何によって維持されているかに関する情報を収集します。個人が「問題行動」を取るのは、それが機能しているからなのです。それらの行動により、は彼らは好子を何らかの形で得ているわけです(例えば、彼らは望ましいか楽しい何かを得る、または望ましくないまたは不快な何かを避ける)。外部環境の状況(すなわち、先行する刺激)が問題行動を誘発するか、あるいはそれが生じる"舞台設定"をするため、問題行動が生じると考えます。 FBAは、確実に問題行動の誘引となり、維持させる環境要素を識別するためのプロセスです。

 

個別マルチコンポーネントの介入治療
PBSの計画を作成するにあたり、子供または大人をサポートするために形成されるチームは、支援される人の生活の一部をなす状況と設定をすべて明らかにする必要があります。機能的行動評価により収集された情報は、このチームがポジティブで、予防的、教育的かつ機能的行動介入計画を策定し、実施するために有益です。 PBSプランには、状況や環境に幅広く応用することができる多くの治療介入が含まれています。介入治療にはこれらのものが含まれます:1)問題行動を刺激するような要素を取り除くように環境を変更するための予防的なストラテジー2)問題行動に代わる新しいスキルを教える3)問題行動への自然な好子(強化子)を省くか、最小限に減らす、さらに4)適切な行動への好子を最大限に増やすこと。 PBSの計画の特徴は、行動支援の統合部分として全体的なライフスタイルの質を(関係、活動、健康)向上させることに重点を置いています。

  

ライフスタイルの向上
PBSは、問題行動を減らすことだけでなく、個人の生活の全体的な質向上に焦点を当てています。その成果には、地域社会への参加、満足のいく関係を獲得し維持すること、個人的な好みを表現し、選択肢を広げ、個人の能力を発展させるなどの様々な生活習慣の改善が含まれます。このような生活の質改善は、個人とその家族(例、個人を尊重したプランニングを通じて)とともに長期的なポジティブ・ビジョンを確立し、効果的なチームワークを通して「自然なサポート」を確立することによって促進されるでしょう。PBSの計画を起動するためには、個人を尊重し中心に据えたプランニングまたは包括的なストラテジーは欠かせません。ですからプラン作成会議では、個人とその家族を指導的な役割に置きます。そして、障害を持つ子供や大人の長所と優先すべき生活の質を定義するために、個人尊重のプランニングと包括的な支援の両方を機軸として話し合いを進めます。ゴールと目的の設定と評価を時間をかけて行い、生活の質向上へ向けての進歩や到達、ならびに子供とその家族に提供されるサービスの有効性を確保してゆきます。

PBS学会ウェブサイトはこちらです: http://www.apbs.org/PBS_Practices.htm